【集計データ 7/1~8/31】

茨木市議会議員のいなばみちのぶです。

厚労省から「全数把握をやめてもOK」というお達しが出て、
茨城県・宮城県・佐賀県・鳥取県の4県のみが乗っかることになったという報道がありました。

しかし現場負担を軽くするはずのこの方針は、当の医療機関からすれば、結局のところ患者情報はやはりキチンと保持しておかなければならないのであまり負担軽減にならず、

逆にこれで把握から漏れてしまう方々の
●医療的フォローアップをどうするのか
●容体急変時の入院調整ができるのか
●食事等の生活支援サービス提供に支障が出るのではないか
●民間医療保険へ提出する証明は誰が出すのか
など、異論が続出している模様です。

吉村洋文大阪府知事は、8月3日の定例記者会見で

「今、全数把握をやめる判断をしてほしい。必要ない」
https://www.lmaga.jp/news/2022/08/494680/

と発言をしていたので、メディア受けを狙った発言でなければちょっとこれは危ないなと思っていたのですが、
今回は大阪府はこれに乗っかっていなかったということで安心しました。

私は医学の専門家ではないのであまり断定的なことは言えませんが、
個人的意見としては、コロナウイルスはまだ未知の部分が多い病原体であり、
以前から状況が変わってきており、まだ気を抜いて良い病ではないと考えます。

たとえば厚労省の最新のデータでは
●オミクロン以前はゼロだった10歳未満の子どもが15人(男女比7:8)亡くなっている
●オミクロン以前は3人だった10代の子どもの死亡者が11人(9:2)に増加
●20代の死亡者も27人→52人(38:14)に急増

となっています。

以前は「子どもは死なないから大丈夫」「高齢者が亡くなるのは寿命のせいでは」などとネットで言われていましたが、
いまやコロナはこうした若い人たちにとっても致命的なものになりつつあり、
10代以下の子どもの重症化数が段違いに増えているなど、状況が変化してきています。

【10代以下の重症者数】
・第7波 19人
・第6波 21人
・第5波  3人
・第4波  2人
・第3波  1人

おそらくご家族の次にこれに苦悩しているのは学校関係者だと思います。
子どもの学びを止めるわけにはいかないし、
安易に休校にすれば共働きのご家庭が仕事に行けなくなる可能性もある。
さりとて暑いからずっとマスクをしていなさいとも言えず、
マスクをしていても空気感染するのでそこまで予防効果は期待ができない。

こういった状況で「全数把握をやめる」ことを行ったら、本当に大変なことになるのではないかと考えています。

せめて「治療薬」ができてからではないのかと。
それもキチンとした、かつ透明性のあるプロセスを経た国産治療薬であることを期待しています。

さて前置きがずいぶん長くなりました。
本題に入ります。

毎度のことですが、初めてご覧いただく方のために注意点です。
当集計データは大阪府の日々発表しているものを手作業で集計したものです。
しかしながら陽性者数はしばしば過去にさかのぼって重複など訂正が入るため、
その訂正は追い切れておりませんので、府内合計で数百人の誤差があります。
また死亡者数はコロナ関連を死亡日で区切ってピックアップしていますが、トータルでの誤差はありません。
以上の理由であくまで「参考値」としてご理解ください。
正確なデータが必要な場合は厚生労働省HPなどにExcelデータが集めてありますので、そちらをご利用いただけるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。

では子どもの重症化のお話をさせていただいたので、まず府内の重症者・死亡者の現状からです。

ニュースの報道でよく「本日は●●人が死亡」と出ています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f37ecc0e6f064a777881f8395a57676ff08ed3bc

他府県は存じ上げませんが、大阪府の報道発表はとてもしっかりしていて、「お亡くなりになった日」「コロナ関連死かどうか」「基礎疾患の有無」までちゃんと報告されています。
大変すばらしいと思っています。

そのなかで、もちろんコロナと無関係に亡くなった方もいらっしゃいます。
例えば8月30日は死亡者数30人でうち25人がコロナ関連死亡者です。
また8月31日の死亡者数は29人でうち26人がコロナ関連死亡者です。

それから「8月31日 死者29人」と報道発表されていても、そのリストには、死亡日が7/28、8/2。8/6の方や一番近くて8/29の方までしか入っていないため、「報道発表日≠死亡日」であることに留意する必要があります。

このように感染症の報道する際は、コロナ関連死亡者数を報道すべきだと思いますが、報道機関の皆さまも大変お忙しいのでもしかしたらそこまで配慮されていないのかもしれません。

あ、なぜ冒頭に「全数把握」の話をしたのか、この話に繋げるためだったのに失念していました。

吉村知事の言う「全数把握」の意味合いとはまた違うのですが、本当の意味で「全数把握」しようと思ったら、台湾のように検査陽性率が1~2%になるまで徹底して検査を行わなければ「取りこぼし」が発生していることになると思います。

ところが、この第7波の大阪の検査陽性率(陽性者数÷検査数)は平均51.3%となっています。
ということは、下記の表のように、第7波の大阪府の陽性者数が90万人超ということなので、下手をするとこの50倍くらい無症状で気づかない方や検査を受けたくてもいっぱいで受けられない方等を取りこぼしている可能性がある、ということにはならないでしょうか。
現に私のところにも「症状が出たのに病院がいっぱいで検査してもらえない」という悲痛なお電話がたくさんかかってきています。
確かに私が受付時間ジャストにお電話しても、全然つながりませんでした。

大阪府民は880万人しかいないのに50倍では数字が合わない?
確かに。しかし今回の変異株はそれくらいの威力があると思います。
※この話はまた後日

各医療機関や保健所・役所の皆さまは本当に力を尽くして下さっており私も心から感謝していますが、全国で死亡者最多の大阪府のそもそもの保健・検査体制というのは、こうした数字で見るとどうなのかな、、、と思わざるを得ません。
これは政治的な問題に起因していると考えられます。

大阪市民からタダもらった高校も統廃合してこれから土地ごと売り払うのでしょうし、カジノとかハコモノに巨額の税金を投じる余裕があるのであれば、医療や保健、福祉、教育、警察等にももう少し予算を回していただけないでしょうか吉村知事。よろしくお願いいたします。

次に変異株です。
現在のところ、従来のオミクロン株から「BA.5」株に置き換わったようです。
また「BA.5」株の3倍も感染力があると言われている通称「ケンタウロス(BA.2.75)」株も若干大阪入りしているのが気になります。
こちらは増加の傾向が今のところは掴みにくいですが、おそらくはそのうち置き換わるのではないかと思うところです。

続いて年代別状況です。
ちょっと前の表の方が大きくて見やすかったかもしれないのですが、
陽性者と死亡者を対比させたかったのと表をスッキリさせたかったので仕様を変更しました。
もっとみやすい表の作成方法がございましたらぜひご指導いただければと思います。

見ていただきたいのは、陽性者数では下段の1日当たりの感染者数、死亡者数では下段の致命率(死亡者数÷陽性者数)です。
「BA.5」がいかに凶悪な感染力を持つウイルスかお分かりいただけるのではないでしょうか。
※陽性者の合計欄の数字が他のものと合わない理由は「年代調査中」の方を捨象しているためです

保健所や医療機関がパンクしている現時点で10人に1人が罹患しているわけで、繰り返しになりますが、この何倍かは確実に陽性者がいるということを考えると、これまで大丈夫だった方も決して安心とは言えないと思います。
現に、私も身近なお知り合いのところで「感染してしまった」という話が次々に出ています。

用心はもちろんのことですが、もうここは「かかる」ことを前提にいかに免疫力をあげてウイルスの力を少しでも削ぐか、あるいは耐えしのぐ体力をつけるか、の2択の考え方が有効なのではないかと考えています。

幸い、これを書いている時点では、自宅療養者が多いのかホテル療養の枠は若干空いているようでした。


最後にわが茨木市の状況です。
これまた字が小さくてすみません。
日毎の傾向を見て頂こうと思うとこうなってしまいます。
どうぞ拡大してみていただければと思います。

茨木市も当然、過去最多の1か月でした。
個人的にはおそらくあと1か月はこの状態が続くと思います。

「茨木市も行動制限すべきだったんじゃないか」というお声も頂くのですが、
確かにそれは一理あると思いつつ、茨木市単独でそのような判断ができるだろうか、と考えてみました。

茨木市は保健所も持っていないし、感染症の研究所や市民病院もありません(新設は上部団体から許可されないので総合病院を誘致中です)。
そこにきて医療情報を広く取り扱う大阪府が「行動制限をかけないでよろしい」と言っているなかで、茨木市が「独自に行動制限をする」となった場合、いかなる医療的知見等に基づいて政策決定をしたのか、の説明責任を負うことになります。

感染症データは大阪府管轄の茨木保健所が一手に握っていて、自宅療養者に関する情報だけを茨木市に提供してくれています。
それは医療情報というよりは食料配達用情報であり、政策決定の根拠にはなりにくいと思います。
あとはワクチンの接種状況くらいしか公的医療データがないので、やはり単独で行動制限をかけるには根拠データが乏しすぎると言えるでしょう。

それでもなお勢いで「行動制限をかけます!」としたとき、
制限とセットの補償は茨木市が単独で準備しなければなりません。

人口28万人のコンパクトシティの茨木市は、かつてはPanasonicや東芝、日立マクセルやサッポロビールなど名だたる大企業の工場がありましたが、
時代の流れとともに次々と撤退され、千代田区のように他の大企業の本社機能が集中しているわけでもなく、財源は豊富ではありません。

初期に大阪府が休業要請したとき、その補償に漏れた市内中小企業に確か5万円ずつ茨木市単独で提供したと思いますが、もし出せたとしてもその程度だと思います(事業者は絶対納得しないと思います)。
国や大阪府の休業補償みたいな金額を出そうものなら一撃で財政がパンクしてしまい、他の行政サービスにまで影響してしまいます。

従って上部団体である大阪府が「行動制限しない」と決めたらそれに準じざるを得ないというのが実情だと思います。

長くなりましたが今回はこのあたりで終わりにしたいと思います。
近々、ご報告も兼ねてまたUPさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後までお付き合いいただきまして、まことにありがとうございました。
皆さまもどうかお身体十分ご自愛くださいませ。
いつもありがとうございます。

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